江東 この街あの人

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江東 この街あの人 江東区文化観光ガイドの会 会長の中尾正文さん

江東区にはゆかりのある地が多い。現代までのつながりを物語としてふくらませることで、お客さんの「そうなんだ!」を引き出します。

江東区文化観光ガイドについて教えてください。
観光振興による地域活性化の機運の高まりを背景として、2010年に江東区が観光ガイドのボランティアを集め、観光客向けにガイドサービスを提供することになりました。NPO本所深川や文化財ガイドなどの協力もあり、かなりの人が名乗りをあげてくれました。以前からあった江東区教育委員会の文化財ガイド事業と2012年に統合され、現在、ガイドは80人ほどで、ガイドの養成講座も開いています。
文化財ガイド事業で案内していたコースをもとにした定番のコースを用意しています。富岡八幡宮や深川七福神、亀戸天神社など寺社の周辺を訪ねたり、また永代橋や小名木川など江戸の水運にゆかりの地をめぐったりする9コースがあります。
またコースをミックスしたり、参加者のリクエストに応えたりすることもできます。最近では、ガイド仲間で「赤穂浪士が歩いた ふかがわ古道(こどう)」と呼んでいる赤穂浪士にまつわる深川の古道や地下鉄の車庫を組み入れたコースも案内しました。
江東区の観光の特色はどのようなものでしょうか。
深川の富岡八幡宮と深川不動堂が両横綱ですね。全国の地図をつくった伊能忠敬や豪商で有名な紀伊国屋文左衛門、歌舞伎・狂言作者の鶴屋南北、発明家の平賀源内など深川にゆかりのある歴史的人物も多いです。 ただ、文化財としての「もの」はないことが多いので、発信の方法は工夫をしています。たとえば松尾芭蕉こと桃青が移り住んだ庵に、芭蕉の木を植えたから松尾芭蕉になりました。深川に来たから「蕉風」を確立できたのです。ガイドとしては、そういう歴史をしっかりとおさえて、お客さんが「そうなんだ!」と思っていただけるように気をつけています。
江東区は水のまちをアピールしています。
川と橋は魅力的ですね。江戸の物流の歴史を伝える中川船番所資料館を訪ねるコースもありますが、江戸における川の重要性は意外と知られていません。房総から物資を運んだ船が出入りをしたのは旧中川や小名木川です。江戸市中の100万人の人々の生活を支えていました。
また永代橋は江戸時代に大規模な崩落事故が起きたという悲劇があり、一方で関東大震災後の最初の復興橋でもありました。富岡八幡宮のそばには現存する鉄橋としては最古に属する八幡橋も残っています。 また現代の橋としては、東京ゲートブリッジが江東区若洲にありますが、形が美しく、構造もユニークです。鉄の構造物の歴史があるとともに、木場には木の歴史があります。江戸から現代までのつながりを、物語としてふくらませてガイドをしようとしています。

歴史をおもしろく伝えることで、この街に愛着や誇りが生まれるガイドをしていきたい。

中尾会長は門前仲町に長くお住まいですね。
大学を出て、就職した建築関係の会社が新木場で、木場の木造アパートに住み始めました。洲崎パラダイスはもうありませんでしたが、アーチのある洋館などが残っていて、ほかの町と違うと思ったのが印象に残っています。下町で「新地」という雰囲気が気に入り、それからずっと深川です。
2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、ガイドの会の展望を教えてください。
五輪では多くの会場が江東区の臨海部にできますので、観光活性化の視点からもチャンスだと考えています。競技施設は観光対象になるように、そして人にやさしいものにしてほしいと思っています。私たちもそうした場所を案内できるように勉強をしていきます。
また江東区には、船との関わりや江戸時代からの埋め立て、亀戸と房総とのつながりなどさまざまな歴史があります。そのおもしろさを、自分たちの歴史として伝えたいですね。ガイドの養成にも力を入れ、楽しいものにしたいです。
江戸時代の教科書の「往来物(おうらいもの)」のように教本を「名代 深川観往来(なだい・ふかがわをみるおうらい)」というように講談調で話せるものにしようと計画しています。
森下に引っ越してきた方が参加され、深川の地名は、江戸初期に開拓をした深川八郎右衛門の名前が発祥だということを知って、とても喜んでいました。「その話を友だちにも聞かせたい」と思っていただけるようなガイドをしていきたいと思います。
(取材日:2014年2月26日)
江東 この街あの人
江東区文化観光ガイドの会 会長・中尾正文さん
中尾正文(なかお・まさふみ)さん 1947年生まれ。
2013年4月から江東区文化観光ガイドの会の会長。
2005年から3年間、区土木部主管の「富岡地区まちづくりプラン」ワークショップで意見交換を重ねた経験から、街歩きを通して街を知ろうと思い、観光ボランティアガイドに。 江戸城下町を支え、時代に翻弄されながらも歴史を作ってきた江東区の「誇り」を伝えるガイドが好評。

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