江東 この街あの人

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江東 この街あの人 江東区文化観光ガイドの会 会長の中尾正文さん

歩くよりもゆったりとしたスピードで進む和船。
いつもと違った目線から、新鮮な景色が楽しめます。

和船とはどういうものなのでしょうか。
和船は、日本に古くから伝わる木造船です。エンジンなどの動力を用いず、主に船頭が櫓(ろ)で漕ぐことで水の上を進みます。江戸時代までは物資や人を運ぶための主力だったといっても過言ではありません。
川が多くある江東区ならではの伝統文化ですね。
読み方は「わぶね」でなく、「わせん」でいいのでしょうか。
「わぶね」と発音する人もいるかもしれませんが、「わせん」と読むのが一般的ではないかと思います。私たちも「わせん」と呼んでいます。
根本さんと「和船」の出会いはいつ頃ですか。
和船友の会の会長とたまたま知り合いで、声をかけられたのがきっかけです。
和船に乗ることができるからと誘われ、何度か乗せてもらっているうちに自分で漕いでみたいという気になり、検定試験を受けて船頭になりました。私の父親は船乗りではないものの、旧江戸川の今井橋辺りで投網を打って魚を捕まえていたことがあり、もともと、川や船を身近に感じていたことも理由のひとつかもしれませんね。
船頭になるには、資格が必要ですか。
認定試験があり、合格しなければ船頭にはなれません。和船を漕ぐ場所は流れもゆるやかで、急流というわけではありませんが、お客様の命を預かるわけですから、それなりの技術や知識、責任感は必要になってきます。
根本さんにとって、和船の魅力とはなんですか。
和船には、エンジンなどの動力がなく、風を受ける帆もありません。我々が漕いでいる和船では、船頭が櫓ひとつで舵を取り、スピードは時速2km程度です。一般的に歩く速さは時速4kmといわれますから、その半分しかありません。ゆったり、のんびり進むので、普段とは異なる癒しの時間を感じることができます。また、お客様は座って乗るので目線が低く、その意味でもいつもと違った景色が楽しめますよ。

和船友の会では、個性豊かな船頭が活躍しています。
自分たちも楽しむからこそ、楽しい案内ができます。

和船に乗りに来られるお客様はどういう方が多いのでしょうか。
年配の方から若い方、子どもまでさまざまです。江東区内はもちろん、全国各地からお越しになります。国内外問わず、修学旅行で来る方々も多いです。和船は日本独自の文化であるため、外国人の方はとても喜んでくれますね。時々、とても有名なミュージシャンや俳優の方などもお越しになり、驚くことがあります。
幅広く支持されているのですね。では、「和船友の会」にはどのような方がいらっしゃいますか。
1995(平成7)年に発足した「和船友の会」の会員は、現在、10歳から98歳まで約70名。皆さん和船の魅力にとりつかれた方々ばかりで、操船技術などを伝承し、和船を多くの人に楽しんでいただくために活動しています。
最年少の10歳の船頭は小学生の男の子なのですが、認定試験にも合格し、何度も和船に乗っています。もう立派な船頭ですね。
女性の船頭さんもいらっしゃるのですか。
ええ、もちろんです。現在、女性は8名います。中には、時代小説『鬼平犯科帳』に出てくる猪牙船(ちょきぶね)という和船に乗りたくて、入会された方もいます。猪牙船というのは、船の前方が猪の牙のようにとがっているので、そう名付けられました。松尾芭蕉が『おくのほそ道』の旅に出るため、深川から千住まで、猪牙船で大川(隅田川)を北上したといわれています。
船頭をするにあたり、特に意識して行っていることはありますか。
近くの小学校の生徒さんが乗船体験に訪れたことがあります。橋をくぐる際に、子どもたちに「わー」という声を出してもらうと、橋の下で声が反響します。それが面白かったようで、とても喜んでいました。
また、和船に乗っている子どもたちに、「江戸時代にも和船が行き来していましたが、その頃と変わらないものがひとつあります。何だと思いますか」と質問すると、みんないろいろな答えを口にするのです。最後に、「答えは、上を見てごらん。空!」と話すと、「なあんだ」といいながらも大喜びしていました。
子どもたちにとって、和船に乗ることはとても刺激的なようで、その反応にこちらも楽しくなりますね。
これからの抱負と、和船に乗りに来ようかと考えている人へのメッセージをお聞かせください。
和船に乗ると時間がゆったり流れます。エンジンのない和船は、本当に静かなので、櫓や船べりを叩く水の音、鳥の声など周りの音がよく聞こえます。横十間川の水は澄み、木々や花々が季節とともに移り変わり、かるがも、鵜(う)などの野鳥の姿も見られます。また、この辺りは海水が混ざっているのでハゼやボラ、クラゲもいます。
乗船料は無料です。ゆっくりと至福の時間が流れる、和船の旅をぜひ楽しみに来てください。また、船頭さんを年中募集していますので、ご興味のある方はぜひ一度櫓漕ぎ体験にお越しください。
(取材日:2014年3月13日)
江東 この街あの人
和船友の会 事務局長・根本明洋さん
根本明洋(ねもと・あきひろ)さん
和船友の会の事務局長
定年後、和船友の会の会長から声をかけられ、和船友の会に参加。入会から6年を数え、現在は事務局長をしている。また、都立清澄庭園の庭園ガイドをしていた経験を活かし、江東区の魅力を紹介する江東区文化観光ガイドとしても活躍している。

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