日本科学未来館 展示企画開発課課長 内田まほろさん

日本科学未来館 展示企画開発課課長 内田まほろさん

科学を文化に。
――先端科学技術をアートやデザインとコラボレーションさせてご紹介しています。

Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)

日本科学未来館はどんな施設なのでしょうか。

宇宙飛行士・毛利衛を館長に、「科学を文化に」をコンセプトとして2001年に開館した国立の科学館です。日本の先端科学技術をたっぷりとご紹介しています。
次世代技術の有機ELパネルで覆われた、宇宙から見た地球の姿を美しく映し出す世界初の地球ディスプレイ「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」など、未来館にしかない展示やデモンストレーションで、楽しく科学技術に触れながら、未来について考えていただける場所です。

内田さんは具体的にはどのような仕事をなさっているんですか?

私の仕事は、未来館の展示やイベントの企画プロデュースです。常設展示、ドームシアター、企画展、イベントなど、未来館のほとんどのアクティビティに携わっています。
未来館の展示で特徴的なのは、常設展も変わることです。一般に、ミュージアムの常設展はあまり変わりませんが、未来館の場合は先端科学技術が一番大切なテーマ。今年の先端は来年の先端ではなく、どんどん変わっていくので、常設展も毎年1~2カ所変わります。企画展だけが変わるわけではありませんので、「一回行ったから、もういい」というお客様には、「いえいえ、毎年来ていただいても新鮮に楽しめますよ」とお伝えしたいですね(笑)。

最近はデートスポットとしても人気のようですね。

そうなんです。実は、仕掛けたのは私かも?(笑)。私はもともとアートやデザインの専門家で未来館の前は、美術館やギャラリーで展覧会の企画などを行っていました。そんな私の未来館での役割は、まさに、「科学を文化に」つなげる役割。恋愛と科学、時間と科学、スポーツと科学をつなげる企画展を仕掛けたり、「Geo-Cosmos(ジオ・コスモス)」を二人で横になって見上げられるソファをデザインしたり、ドームシアターで宇宙を体感していただいたあとに、ユニークなインテリアの中で軽食やドリンクが楽しめる「ミライカンカフェ」をつくりました。先端の科学技術に触れて、カップルで未来を考えるなんて、とても素敵ですよね。未来館へデートに来て、結婚されたカップルもいらっしゃいます。最近、私どものスタッフにも未来館でデートした後、プロポーズした人間がいることがわかってビックリしました。

現在、開催中の企画展「THE 世界一展」(2013年12月7日~2014年5月6日)も盛り上がっていますね

ありがとうございます。実は、「THE世界一展」は「日本展」でもあります。日本の豊かで厳しい風土や歴史の中で培われた「極めたい」と思う精神や「おもてなし」の心などが先端的なものづくりにつながっていることを伝えたくて企画しました。日本のモノづくりの歴史を伊勢神宮の式年遷宮までさかのぼるとともに、現代の日本企業がどんな製品や技術を世界に向かって発信しているか、200点以上のアイテムをさまざまな見せ方でご紹介しています。
また、日本には世界シェア100%の驚くべき産業がたくさんあることも本展で伝えたいことの一つです。例えば、一眼レフカメラがそうです。世界の動きをとらえている眼は、実は日本製なのです。世界最小の部品づくりもそうですね。例えば、日本が誇るハイブリッド車をつくるためには精巧な部品が必要です。このような極めて高い技術を要するものを、すぐそばにいる人たちでつくってしまえるのが日本の底力。日本の文化に根差したものづくりの強さにたっぷりと触れていただける、だから、「日本展」でもあるのです。日本の科学技術は、日本人が日本人であることを誇りに思える「宝物」。これからご覧になる方には、宝物だと思って、たくさんのナンバーワン・オンリーワンを展示会場で見ていただきたいですね。

未来館のある江東区・臨海エリアは、東京の最先端エリア。
変化し続ける、新しい魅力でいっぱいです。

江東区の魅力はどのようなところだと思われますか。

江東区の中でも、未来館のある臨海エリアは、東京の未来を感じていただけるエリアだと思います。2020年の東京オリンピックに向けて、今後ますます開発が進むことが決定していて、少子高齢化の中、人口も増えていて、活気にあふれています。
なかでも未来館は、海外の方からも人気のスポットなんです。トリップアドバイザーの「外国人がクールだと評価した日本の人気スポット20」で13位。開館当時、5%程度だった海外のお客様の比率が今や15%近くであることからも、海外の人々が見たい日本は、「先端」であり「変化」し続ける姿なのかもしれません。
変化といえば、未来館では今年6月、お子様子向けの無料スペースを新たにオープンさせます。もともと中学生くらいをメインターゲットとしてつくられた科学館なので、小学生以下のお子様には展示内容が難しくてわからないという声がありました。地元に住む子どもたちが増えたことも背景にあり、江東区に住むお子様とお母さんたちが気軽に来られる無料スペースを誕生させます。ぜひ、遊びに来てください。

これからの抱負と、皆さんへのメッセージを聞かせてください。

私は未来館も、未来館の今の仕事も大好きです。
その理由は、未来館で皆さんにご紹介している先端の科学技術をつくっている人、その人がつくるモノを「美しい」と感じるからです。皆さんにも、限界まで挑戦する人の知性や精緻を極める技など未来館で出会えるさまざまなモノの「美しさ」を感じてほしいと願います。
さらに、私は東京が好きで、日本が大好きです。その理由は、日本には先進的なものと歴史的なものが混在し、さらには美食、ポップカルチャーまで世界のどこにも負けないくらい美しい価値のあるものがたくさんあるからです。皆さんにも、未来館に来て、日本のことをもっと知って誇りに感じていただけたらと思っています。
おかげさまで、未来館の来場者数は初年度60万人から年々伸びて、2010年度には年間来館者数が100万人を超えました。これからも、科学と文化をつなげながら、皆さんと未来を考えていける場にしたいと思います。そのために、型破りな企画も仕掛けていきますので、どうぞお楽しみに。ご家族で、カップルで、先端に触れて、未来を考える。夢と楽しさでいっぱいの未来館へいらしてください!
(取材日:2014年3月12日)

江東 この街あの人

日本科学未来館 展示企画開発課 課長・内田まほろさん

内田まほろ(うちだ・まほろ)さん
2002年から日本科学未来館で展示やイベントの企画プロデュースを担当。アートやデザインと科学をつなげる、知的で美的な企画を次々と仕掛けて、先端科学技術を身近なものにしている。近い将来、「そういえば未来館って、科学館だったよね」とみんなに言われるようになるのが小さな野望。
http://www.miraikan.jst.go.jp/