芝浦工業大学教授・志村 先生の専門は、まちづくり。 市民や産官学が協力して良 いまちをつくるための実践、 研究をしています。 2006年に大学が豊洲に 移転した時、まだ周辺に大 きな商業施設はなく、運 河は堤防で隔たれていまし た。そうした中、学生プロ ジェクトの一環で区や地元 の人々を巻き込みながら、 仮設の船着場を造設。運河 クルーズを実施したところ、 大変な好評を呼びます。「初 めは誰も水辺を楽しむなん て発想がなかったけれど、 学生たちの頑張りがきっか けで大人たちを動かし、今 はあちこちに船着場ができ ました」。中には防災船着 場を兼ねているところもあ り、災害時に道路が寸断な どした場合は、水路で人や 物資を運ぶ備えにもなって います。 そうした船着場を活用し、 2010年から「豊洲水彩まつ り」を開催しています。志 村先生の研究室が手掛ける 運河クルーズは目玉の一つ で、6便240席がすぐに満 席に。学生がまちの変遷な どを解説してくれるとあって 人気です。「地元の方がた くさん乗ってくれて、水上 からまちを眺めて、愛着を 感じてくれているようです。 水辺を楽しむことで人々の つながりができ、コミュニ ティーができているという 手応えがあります」。 50年前にはコンビニチェ ーンの1号店が開業するな ど、豊洲は「埋立地ならで はのフロンティア精神が息 づくまち」と志村先生。「あ ちこちに歴史的なものを残 しつつ、テクノロジーを取 り入れたまちづくり構想も 始まっています。貪欲に挑 戦し続ける、豊洲スピリッ ツなのだと思います」。 志し 村むら 秀ひで 明あき さん profi le 芝浦工業大学建築学部教授。専門はまちづくり、市民 参加、都市計画。一級建築士。江東区新庁舎建設基本 構想策定会議会長、江東区景観審議会委員、豊洲地区 運河ルネサンス協議会事務局。江東区をはじめ日本各 地で活躍。 インタビュー……この人に会いたい 「ぐるっと湾岸 再発見 東京湾岸それぞれの物語」 豊洲、有明、青海、夢の島など、志村 先生が東京湾岸地域の豊かな歴史と文 化をつづった一冊。花伝社1650円 「豊洲水彩まつり」で学生が運営 した町内対抗ゴムボートレース。 今年は、豊洲5丁目チームが優勝 水辺を楽しめるまちに変貌 フロンティア精神が息づく豊洲 14
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